曲物めぐり|大館郷土博物館

明日から3連休。
大館にお越しの際、曲物めぐりはいかがでしょうか。

大館郷土博物館では現在、「大館城跡・金坂遺跡~令和4年度発掘調査成果展~」が開催中です。

今回展示された遺物のなかに、杉の曲物がありました。

井戸跡の底から出土したそうで、柄杓の一部ではないかとのこと。杉の均一な柾目が美しく、山桜の樺もしっかりと残っていました。

現在は桂城公園、市役所、裁判所がある市街地に、大館城がありました。

城下絵図によると、大館市役所の旧庁舎があった場所には、千手院という祈祷寺が存在しました。1790年頃に寺が移転した後、博文書院という学校が造られました。

今回の発掘調査では、その建物跡を復元するのは困難だったようですが、井戸跡6基のほか、柱穴や溝跡が確認されたそうです。 複数の井戸跡はその形態が異なり、造られた時期の違いがあるのではとのこと。建造物の増改築とともに、井戸の位置が変遷したと考えられるそうです。

仕事柄、曲物や漆塗りの出土品に目が行きがちですが…

そのままの形を留めた鑿(のみ)、千手院との関連性も考えられる卒塔婆など沢山の展示物、写真があり、興味深く拝見させていただきました。

展示は11月4日(月・振休)までです。

企画展「大館城跡・金坂遺跡~令和4年度発掘調査成果展~」を開催します|大館郷土博物館

博物館の常設展では市内最古の曲げわっぱがご覧いただけます。

平安時代中頃の道目木遺跡にて、十和田火山、毛馬内火砕流によって埋没家屋から出土したもの。多少の歪みはあるものの、自然災害をきっかけに、美しい姿のまま保存された曲物です。

1千年以上前のものも、現代の曲げわっぱと素材は同じ。 天然杉の柾目板を使い、胴体(曲げ輪)の合わせ目は樺で綴じられ、胴と底は木釘で止められています。(弊社の商品で木釘を使っているのは和せいろのみです)

「柾目」とは、木材の中心付近を切ったときに表面に現れる、「直線的」な木目のこと。白い夏目と硬い冬目が繰り返され、樹齢が刻まれていきます。


(写真左は辺材の白太、右側が曲げわっぱの主材料となる芯材の赤太)

柾目板には適度な吸湿性があり、水分変化に伴う寸法変化、狂いが少ないという特徴があります。 素材の特性を活かしたものづくりの歴史の重み、その伝統に自分たちが関わる喜びをあらためて感じました。

大館郷土博物館は、大館駅から車で約10分。
きりたんぽ祭り会場のニプロハチ公ドームからは、約5分です。

3階には「曲げわっぱ展示室」もございます。

 
おまけ
館内の床には石鏃(やじり)のサイン!
館内をめぐる皆様をガイドしてくれます。

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