秋田美の交差点|2024年を振り返る

昨日の投稿では、イタリアでのプロモーション活動を報告させていただきました。

柴田慶信商店が手がけた曲げわっぱを、イタリアで展示させていただくのは今回で2度目。初めての展示は2017年のミラノサローネに遡ります。

今春、秋田県立博物館で開催された「秋田美の交差点 博覧会とあきたの工芸」にて、ミラノに出品された《AKITA NDA》シリーズが展示されていました。

この展覧会は明治期以降の博覧会に着目し、その資料・記録から、これまでに出品された秋田の工芸品を紹介したものです。

日本政府の初めての出品は、明治6(1873)年のウィーン万国博覧会。博覧会事業は国をあげての近代化推進策の一つ。当時秋田からは相当数の工芸品が出品されていたそうです。国外での需要が拓けるものをと趣向が凝らされた出品作は、今見ても革新的なデザインが目を惹きます。

今回の展示では、現在は途絶えてしまった能代春慶など、現存する貴重な作品を見ることが出来ました。

 

 
 

さて、《AKITA NDA》はフランス出身のデザイナー、フィリップ・ニグロ氏がデザインし、川連漆器と大館曲げわっぱの伝統技術で実現した作品。 木地を柴田慶信商店が製作し、漆工芸利山の佐藤公様が漆塗りをいたしました。

川連漆器と大館曲げわっぱは、樺細工とともに、「秋田の工芸の今」というセクションに展示されていました。需要低迷や後継者不足、材料の供給難…様々な課題がありながらも、現代の生活様式に合うようにと提案された工芸品の数々が並びます。

先日の備前焼とのコラボレーション作品は、150年後の人々の目にはどのように映るのか、
その頃、天然秋田杉の供給は再開されているのだろうか…

ついつい未来のことを考えてします。

有り難いことに海外での出展機会をいただいた今年、奇しくもその系譜を辿るような展示を鑑賞できたことを幸運に思います。


美の交差点 博覧会とあきたの工芸

秋田県立博物館
2024427(土曜日)2024630(日曜日)

博物館展覧会紹介ページ

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