天杉のこれから|2024年を振り返る

天然秋田杉が3年ぶりに出材されると、地元紙で大きく報道されました。

天然秋田杉は資源保護の観点から、2012年度末から計画伐採と供給が停止されております。市場出荷できるのは、自然災害や道路整備のために伐採された原木のみ。

今回出品された原木は、秋に北秋田市内で伐採されたもの。 最も大きな木は推定樹齢220年で樹高約36m、胸の高さの直径は1.56mもあったそうです。

ちなみに天然秋田杉のことを、「天杉(てんすぎ)」と呼びます。国の植栽記録が残っていない、樹齢大体200〜250年の杉を指します。

樹齢100年以上の秋田杉と比べても、天杉の木目はより細かく、過去には3〜4倍の価格で取引されたこともあるそうです。

供給停止以降、柴田慶信商店では隣り合う青森県、岩手県産の高樹齢の天然杉を仕入れています。前述した通り市場に出る風倒木などのほか、平成25年以前に伐採されたもの、製材所の整理品など、秋田県産の天然杉も材料として使ってまいりました。

今手元にある天然秋田杉は、全て貴重なもの。現在は「飯器」や「シャンパンクーラー」など、一部の製品に用途を限定しておりますが、いつかこれらの商品は製作出来なくなる可能性もございます。

限りある自然素材のこれからは、その恩恵を受けながら継承されてきた工芸品と切り離して考えることが出来ません。

貴重な材料とその特性を生かす、暮らしの道具とは。 材料への問いかけを続けながら、その最適解を得られるよう製作に励む所存です。

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