【桐始結花】天然杉のパン皿でいただく、アンズジャムのトースト

桐始結花きりはじめてはなをむすぶ


春に咲いた桐の花が、実を結ぶ頃。古くより桐の木は、鳳凰がとまる木として神聖視されてきました。 暦の上では、大暑の初候。桐の実は青みがかった、生気あふれる緑色。 暑さは日々増すものの、その色に清々しさを感じます。
この頃の季語として、打ち水があります。暑さ厳しい大館では、開店前、日中…と打ち水をしてみたり。肌でも目でも涼やかさを求めています。



この時期の食べ物として、アンズが挙げられます。生のあんずが出回る時期はとても短く、あんずを店頭で見つけた時はチャンス!そのままいただいても良いですし、ジャムやコンポートなどの加工料理のレシピも様々あります。ひとしきり悩み、今年はジャムを作ることにしました。

 アンズにはクエン酸を始めとした有機酸が多く含まれ、胃腸の運動促進、殺菌作用などの効果があるそうです。また、疲労回復や肩、腰の痛みにも抑制効果があるとされています。

材料はいたってシンプル。アンズと砂糖があれば大丈夫。まずはアンズを切る作業から…皮はむかずに、種子を出してちょうどいい大きさに切ります。そこまで細かく切らなくても、煮込んでいるうちに形は綺麗に崩れます。大変かな?と思う種子を取り出す作業も、コツを覚えればとても楽です。

凹んだ部分に包丁を刺し、くるりと一回転するように刃を入れると、果実は綺麗に割れ、種子もスムーズに取り出せます。慣れてくると、なんとも楽しい作業!
鮮やかな橙色の果実と対照的な、ゴツゴツ・ザラザラの種子。少し見た目が怖いです。 この“怖い”種の中には、杏仁(キョウニン)が入っています。杏仁は古くから漢方の生薬として重用されてきました。咳や痰を和らげる効能があるとのことで、漢方薬として現在も処方されています。 もちろん、ご存知「杏仁豆腐」もこのアンズの種子を使って作ることが出来ます。ちなみに漢方などに使われる場合には「キョウニン」、食品に使われる場合には「アンニン」だそうです。「杏仁形」(キョウニンギョウ)という言葉もあります。飛鳥時代の仏像の「眼」を語る際に使われる言葉です。

気づけばパックいっぱいに入っていたアンズは、あっという間に鍋におさまりました。



心なしかアンズに見える、レトロなイラスト

適当な大きさに切ったアンズは鍋に移し、アンズの重さ半分程度の砂糖を。時間が経つと共に、浸透圧で水分が出てくるのを待ちます。頃合いを見計らって、中火でコトコト。沸騰したら、弱火で30分ほど煮込みます。アクがどんどん出るので、この30分は門番のように鍋に張り付いていました。

今回はジャムを煮込む際、大粒の黒胡椒を入れました。ジャムの風味にメリハリをつけつつ、スパイスの香りで食欲を促すためです。

30分ほど煮込み、完成!アンズには元々クエン酸が豊富なため、今回レモン汁は入れませんでした。健康的なアプリコットオレンジは、見てて元気をもらえます。

完成!

出来上がったジャムは、翌朝トーストに塗っていただきました。薄くバターを塗り、その上にアンズのジャムを。

マゲワバターケース丸には、すぐ使えるようにサイコロ状にカットしたバターを入れています。

トーストは白木のマゲワパン皿(大)で、いただきます。白木とは無塗装のこと。塗装をしていない無垢の天然杉が、食材から出る水分を吸ってくれます。そのため、時間が経ってもトーストの裏がしっとりとせず、サクサク、焼き立ての食感を楽しめます。またこの暑い夏には杉の持つ抗菌効果も嬉しい。大サイズはトーストが一枚まるごとのるサイズですが、バゲットやイングリッシュマフィン、クロワッサンなど小さめのパンの時には、小サイズが良いかと思います。

強い酸味に包まれた、独特の甘味。バターの塩気と混じり合い、サクッ、サクッ、とトーストを噛むたび、じゅんわりとおいしさが伝わります。黒胡椒がピリッ、と良い刺激をくれるのも嬉しいです。
すっきりとした味のアンズジャムは、ローストポークなどお肉料理のソースとして使うのも良さそうです。

陽の光をぎゅっと凝縮したような色のジャム。夏の気だるい朝にも活気と食欲をもたらしてくれるのでは、と期待されます。

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