私のお弁当箱 その②
こちらのお弁当箱は、昨年6月のブログ記事にて紹介のお弁当箱と、同じものです。
私のファースト曲げわっぱこと、手の平弁当箱被せ蓋。
前回のブログから約半年後、シバキ塗りは無事完了しました。お化粧直し後も、お弁当時間に活躍してくれています。
たわしと粉クレンザー、クエン酸で、しっかり磨いて手入れしたお弁当箱。使う頻度が高く、私の手荒なお手入れの「実験」にも付き合ってくれたので、減りは他の方よりも早かったかもしれません。黒ずみはないものの、強度に心配がありました。
シバキ塗りに回してから、約半年。仕上がりの量感と質感に、安心しました。柿渋を下地に塗った上から、複数回漆塗りをしているため、ほんの少しぽってりしたシルエット。しっとりとした見た目ながら、持った時に感じる軽さは変わらず。冬目と呼ばれる硬い木目は明るく浮き上がり、削れた夏目部分には漆の液が流れ込み、その反復がほのかな諧調を描きました。
「暮らしの足あと」という慶信の言葉を思い出します。 まだ写真もない時代、記録を残す媒体は限られていました。市井の人々の暮らしを克明に記録したのは、文献や写真ではなく、曲げわっぱを含む「暮らしの道具」についた足あとかもしれません。 曲げものについた傷、シミ、幾たびもの修理の跡。慶信はこれらを「暮らしの足あと」と呼んでいます。
シバキ塗りは使い込むごとに艶が出て、白木の時とはまた異なる「育てる」楽しみを味わうことができます。
これからも、このお弁当箱と共に、暮らしの足あとを刻んでいきます。