【大暑】飯切で茗荷のちらし寿司を

大暑たいしょ


一年で最も暑い時期。目に涼やかさをあたえるもの、夏らしいものの象徴として挙げられるのが金魚です。

写真は、わっぱビルヂング店で展示している、曲げわっぱの金魚鉢。透き通った水の中、悠々と泳ぐ金魚を見ていると、気持ちが穏やかになります。


この時期、旬の薬味。その一つは、生き生きとした紅色の茗荷。

甘酢漬けにしてもいいし、少しは薬味用に残して、お味噌汁や冷奴に使ってもいいな、この時期食べたくなる冷や汁も捨てがたい…食卓にならべたい茗荷メニューを考えるのも、この時期ならでは。
せっかくだから今年は大胆に使おう!と決め、茗荷をメインにし、さっぱりとしたちらし寿司を作ることに。メニューを決めたなら、次はうつわも決めて、仕上がりの盛り付けをイメージします。ちらし寿司をするなら、何よりも頭に浮かぶのは白木飯切

メニューと器の決め手は、以前お客様から頂いた写真。飯切九寸をお買い上げいただいたO様は、ご自宅で初秋にぴったりのちらし寿司をお作りしたとメールをいただきました。

 

時季が初秋だったこともあり、具材にはこんがり焼いた紅鮭を。きゅうりの塩もみや茗荷を豊かに使い、仕上げにいくらを。まだ暑さ残る時期、清涼感のあるお食事だったことでしょう。

口に含めば、ふんわりと広がる、茗荷の香り。茗荷に含まれるカリウムは、余分な塩分を体外に排出する働きをすると言われています。食欲の増進や消化の促進にも役立つそうです。まさに“薬”味!

この夏の暑気払いとして、爽やかな風味をプラスしたいと思い、先日浸けた梅干しから出た梅酢を寿司飯に使いました。


優しい色の梅酢

刻み茗荷・大葉・鰯のお刺身・塩もみ胡瓜・白ごま…合わせ酢は作っておき、材料をずらりと並べ食卓で実演?調理です。寿司飯を作るときに漂う、杉の芳香。これを食卓にいるひとにも味わってほしいため、我が家は目の前で調理する実演スタイルです。私にとって、杉の芳香は食前酒のような存在。


寿司飯を作るときはご飯を硬めに…といつも気をつけているのですが、思ったより柔らかく炊けてしまった!とがっかりしてしまいますよね。でも飯切でご飯をさばいている内に、無垢の杉がどんどん水分を吸ってくれているため、食べる時には「あれ、ご飯が柔らか過ぎない!」と驚くことがままあります。そんなちょっとしたミスもフォローしてくれているような白木の曲げわっぱ、お料理の頼もしい味方です。



凛々しい印象の飯切の鱗綴じは、テーブルウェアとしても楽しめるワンポイントです。鱗綴じは慶信が古い曲げ物に学び、形にしたものです。右側の“十字”は「慶信が作った」というサイン的な意味合いがあります。
おまけ三日三晩干しました。
梅酢を大切に使いつつ…熟成させます。

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